木下啓爾議員の議会報告No.31~高森町議会に対する請願2本

高森町議会に対する請願2本


少し古い話になりますが・・・。2017年2月、松本工業高校の生徒は、2つの請願書を松本市議会に提出しました。1つは「高校生や高齢者など交通弱者に配慮した公共交通の充実を求める請願書」です。その内容は、高校生が多く利用する上高地線の朝の混雑解消のための列車の増便と、同路線を利用する高校生の運賃補助等でした。もう1つは「自転車利用者に優しい街づくりを求める請願書」で、自転車専用レーンの安全確保や、中心市街地の無料駐輪場設置を求めるものでした。両方とも、鉄道や自転車を通学で利用する高校生の切実な思いから提出されたものでした。(これらの請願は、松本市議会で審査の結果「採択」されました。そして松本市はその対応施策を実行しました。)

「請願・陳情を提出する」というのは、上記の松本市の高校生のように「~して欲しい」などの願いを議会に届けるということです。もちろん、年齢や性別には関係ありません。高森町民の皆さんも同様に、国や町に対する意見・要望を町政に反映させる方法として、町議会へ「請願や陳情」を提出する制度があります。

請願・陳情の内容についての規定はありません。様式さえ整っていればどんな内容であっても提出は可能で、議会事務局で受理します(詳しくは高森町ホームページの「高森町議会」をご覧ください。)ただし、請願には紹介議員が必要ですので、議員の参道を得られることが大切になります。(陳情については、紹介議員は必要ありません。)その後、議会の運営委員会では提出された請願・陳情の扱いを話し合い、議会での審査の流れ等について決定されます。

さて、3月の定例議会には、下記の4つの「請願」が出されました。これらの請願を受理した議会は「関係委員会での審議 ⇒ 議会本会議での審議」の流れで話し合いをしました。
請願1号
『適格請求書等保存方式(インボイス制度)の廃止、もしくは見直しを求める請願』
国の関係機関に意見書を出してほしいとの請願
提出者:ファースト住まいる

請願2号
『信州たかもり温泉リニューアル事業関連補正予算の議決保留に関する請願書』
高森町議会での議案審議において、関連予算を保留決議してほしいとの請願
提出者:信州たかもり温泉のこれからを考える会

請願3号
『福祉センター建替え事業関連予算の決議保留に関する請願書』
高森町議会での議案審議において、関連予算を保留決議してほしいとの請願
提出者:町民参加のまちづくりを求める会

請願4号

『最低賃金法の改正と中小企業支援の拡充を求める意見書の採択を求める請願書』
国の行政機関に意見書を出してほしいとの請願
提出者:飯田下伊那地区労働組合連合会

このうち、請願1,4号は国への意見書の提出に関するもの。請願2,3号は高森町議会の議決に関する請願でした。私の7年間の議員生活で、議会の審議・決議について「~して欲しい」との請願が提出されたのは初めてでした。議会に対して出されたこれらの請願のうち2本は、議会運営委員会・委員会・本会議では請願内容の「関連予算を保留決議してほしい」という部分が審議の柱の一つになりました。
どうしてこの部分が柱の一つになったのか? それは、議会の請願審議においては「採択」と「不採択」しかないからです。議会で行う請願の審議では「議決」を行うことになっています。その「議決」とは、手続き上は全て「可決」か「否決」という形で決定されます。「原案」あるいは「修正を加えた案(修正案)」を可とする議決が可決、原案を否とする議決が否決となります。修正を加えての可決は特に「修正可決」と言われますが、「保留」というものはないのです。そのため、これら2つの請願は、議会の審議の結果「否決」と決まりました。

ここで注目すべきは「紹介議員の役割」です。議員が「紹介議員」の依頼を受けた場合、請願の種子や請願書の内容について理解して承諾します。その場合、当然のことですが「請願文の内容や記述」についてもアドバイスを行うことが必要となります。今回の場合には、その「アドバイスが正しく行われていたか否か」に疑問が残ります。
「可決」か「否決」しかない議会審議の仕組みに「保留すること」の文言が入っていたからです。紹介議員を引き受けた3名は、このことをどのように考えられたのでしょうか?
ちなみに、そのことに気づいた議員2名は、紹介議員への依頼をお断りした経緯がありました。

高森町議会の今をチェック


No.14
定例議会は、3,6,9,12月の4回開催されています。その中で行われるのが、議員の「一般質問」です。一般質問とは、議員が施策に関わるテーマで町長や執行部に質問できる権利です。これに対して国会中継でよく見かける「代表質問」は、会派の代表として行うものです。高森町議会には「会派」はありませんので「代表質問」はありません。
議会における議員の発言機会は「質疑」・「討議」・「一般質問」の三つです。
①質疑
定例会に上程された議案に対して、不明な点を正す発言です。
②討議
議案に対して、各議員が「賛成か」「反対か」の根拠をはっきりさせながら表明する発言です。
③一般質問
上記の質疑・討議は、提出された議案に関してのみですが「一般質問」は、テーマは自由ですので議員独自のカラーが出せる貴重な発言機会です。

質問というと「何かを聞いたり確認したりする」だけのように思われます。しかし、一般質問は「政策の確認や課題の研究」・「行政の改善や効率化」・「施策への提案や問題提起」などが質問の本質です。町長や執行部に「議員が分からないことや知りたいことを質問する」だけでは不十分なのです。私自信は、一般質問の意義を「行政のやろうとしていることを町民に知らせる」「施策についての課題をただす」「町民の声を施策に反映させる」ための各議員に与えられた唯一の機会だと考えています。
そのため、今までの定例議会(議員にさせて頂いてから31回)では必ず「一般質問」をさせて頂きました。議員になりたての頃は、経験不足で「???」なことも多々ありましたが、最近は3,6,9,12月の定例議会の間に「一般質問のテーマを決め、質問の骨子に関する資料・情報を集め、町の執行部とのやり取りを構想する」を行っています。
一方、私は「一般質問の質的向上」のために、1年ほど前から定例議会の前の月(2月,5月,8月,11月)の中旬に「一般質問勉強会の開催」を全議員(14名)に呼び掛けてきました。その結果、現在は議員有志が5人ほど集まって「一般質問の内容」や「質問の構成や資料選択」などを話し合う勉強会を行っています。
「たかが一般質問。されど一般質問。」との言葉も聞いたことがあります。一般質問は「議員の義務」ではありませんので、やってもやらなくても問題はありません。だから、全国には一般質問が数年間にわたって一度も行われていない町村議会もあるようです。私が町議会議員になった当初、先輩議員から「一般質問は2~3回に一度やればいい。」とアドバイスを頂いたこともあります。私は違うと思います。『町の課題を把握してそれを町政に質問するとともに、町民にその課題を知ってもらう』大切さを実感しているからです。

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