唐突だけど「プラスチック汚染とは何か」枝廣淳子著、「海洋プラスチック」保坂直紀著~マイクロプラスチックの話
- 2024/3/9
- 自然/環境
- プラスチック汚染とは何か, マイクロプラスチック, 南信州, 海洋プラスチック, 長野, 高森町
マイクロプラスチック
今度、山吹にできるサッカー場の人工芝に関して「マイクロプラスチック」というワードを目にすることがあるので、関連してそうな本を2冊ばか読んでみました。
それぞれの本で「へ~」って思ったことを書き出してみると下のような感じ。
岩波書店 枝廣淳子著
「プラスチック汚染とは何か」
世界中の海洋ごみの99.9%がプラスチックという報告がある。
プラスチックが誕生してから2015年まで累計83億トンのバージンプラスチックが生産されたらしい。
世界最大のプラスチック生産国は中国で、全生産量の29.4%、日本は3.9%。
生産量の内訳は容器包装が36%、建築建設16%、繊維14%
2050年には海のプラスチックが重量で魚の量を超えるという報告がある。
角川新書 保坂直紀著
「海洋プラスチック」~永遠のごみの行方~
2015年までに生産された83億トンのプラスチックは、8億トンが焼却、49億トンが埋立や自然界への流出、6億トンがリサイクル。
生分解性プラスチックが分解するにはそれなりの条件が必要。
化繊の衣類を1回選択すると50万本のプラスチック繊維が下水に流れる。
窓から差し込む日光でキラキラする埃もマイクロプラスチックと考えてもいい。
海洋プラスチック調査で使う0.3ミリの網より小さいプラスチックが多いかもしれない。
健康への影響は「焦げたパンに発がん性がある」と同様、過剰な反応は意味がない。
マイバッグは50回以上使えば有意。
本来の目的は温暖化防止なのか資源節約なのか健康問題なのか。
「選択的接触」「確証バイアス」で、知れば知るほど社会は割れる。
河川清掃をコツコツとかの市民活動の力はあなどれない。
マイクロプラスチックとは
コンビニ袋や容器が川から海へ流れて、劣化して細かくなってマイクロプラスチックと呼ばれるものになるものもありますが、例えばこんなものもマイクロプラスチック。生活に密着した何気ないものにもマイクロプラスチックは使われています。
・化粧品や洗顔料、歯磨き粉中のスクラブビーズ
・紙おむつの高吸水性樹脂
・タイヤの摩耗
・合成繊維の洗濯
地上で発生するマイクロプラスチックの35%が化繊の洗濯、28%がタイヤの摩耗と言われていて、例えば洗濯機でフリースを1回洗濯すると、114,000~2,283,000本の繊維が水路に流出しているといいます。
そして、なんやかんやで1年間に150万トンのプラスチックが海洋に流出しているという調査結果もあるそうです。
何がどのくらい問題なのか
直接の影響は、海洋プラスチックが魚を経由して人体に入ること。プラスチック自体は便として排便されるのですが、プラスチックに添加されている物質が体内に残る可能性があることが問題のようです。
ただし、その添加物の影響は「焦げたパンを食べると発がんリスクがあがる」みたいなもので、実際には現実的な影響の無い程度と思われます。なので、騒ぎすぎてことの本質を見失った行動から別の問題を発生させないように注意がいります。
また、生活の中には空気中に漂う繊維ゴミのようにマイクロプラスチックはあらゆるところに存在しています。海洋プラスチックだけを健康問題にするのも本質っぽくないです。
どうする?
プラスチックは便利な素材なので「使わない」とか言わずに「正しく使う」ことが大切。
一人一人がゴミ捨てのルールを守って、地域の清掃作業をコツコツ続けることは、みんなでやれば大きな力になります。日本人てそういうの得意だったりしますよね。
サッカー場の人工芝は、それがマイクロプラスチックの発生源になることを理解した上で排水に対策をとることは大事ですね。田んぼで使われる肥料に由来するプラスチックも相当量が海に到達しているという調査結果もあります。そんでそれが、タイヤの摩耗とか化繊の選択とかゴミのポイ捨てとか、数ある要因の1つでしかないことも理解して、同じ文脈で、個人個人の行動としても、せめて正しいゴミの出し方を心がけるとかも大事です。
4月からプラごみの出し方が変わる
そういえば4月からプラゴミの出し方が変わります。家庭ごみ分別の手引きも刷新されましたよ。
▶家庭ごみ分別の手引き(役場HP)