伝統は続くよどこまでも
南信州が誇る観光資源の一つ、『天竜舟下り』。これに使われる和船を新たに築造する様子が公開されました。1月20日と21日の2日間にわたって開かれた見学会は、私の勝手な想像よりずいぶん若い船大工さんたちによる解説と実演、体験まで楽しめる貴重な機会でした。
天竜川で見るとそれほど大きく感じませんが、建物の中にあると、全長10m超は大きく感じます。
見学会当日は、船尾にエンジンが付いて、川を上ることもできる船を造っている最中でした。
これまでの船は前も後ろもないような前後対称な形でしたが、これは船尾が平らになっています。
きれいな曲線でできている船ですが、素材は全くの板です。
平面的な板で立体的な曲面をつくるために、「かすがい」という道具を打ち付けて板を固定します。
かすがいを外しても板がバラバラにならないように固定するのは、この和釘。新潟県の燕で造られたこの釘は粘りがあり、折れずに自ら形を変えることで衝撃に耐えることができるものです。
まずは穴を空けて、釘を打ち込んだら、木片を打ち込んで釘が抜けないようにします。
この下穴を空けるときの音がこちら。
この釘打ち作業は一艘で800~1,000か所繰り返されます。
さて、この釘を1,000本も使いながら微妙な曲線を描く舟の設計図はどんなに緻密なんでしょうか。
と思いきや、このペラ1!しかも数字少な! 技術の伝承なくして、この設計図からは絶対に船は復元できないでしょう。この図面で100人に自由に舟を作ってもらったら100通りの舟ができそうです。
以上、現場からでした。