高森町の下市田河原を空から観察する 2022年3月

高森町の下市田河原を空から観察する 2022年3月高森町下市田河原の工業用地を改めて空撮しに行ってきた。
今さらの説明だが、自分が住んでいる高森町は、長野県の南、南アルプスと中央アルプスの間に挟まった「伊那谷」にある。河岸段丘の町で、町の中で一番低い所に天竜川があり、ここが谷底となって谷を形成している。こんな土地なので、ほとんど平たい土地はない。いや、自分としては平たい土地はあると言いたいのだけれど、どうやら伊那谷原住民の「平」と、それ以外の人の「平」は基準が違うらしく、よその人から見た「平」な土地というのは伊那谷には殆ど無い(らしい)。
そんな高森町でしっかりと「平」だと言える場所というのは、伊那谷の底、天竜川河川敷となる。平らな所は産業立地する場所になる。ここは広い水田地帯だった。美味しいお米が収穫できる。ここが、今、工業団地に開発されている。ここの変化を記録しておきたくてドローンを買ったと言う経緯があって定期的に撮影しようと思っている。(結構忙しさに紛れて忘れがちですが💦
ということで、今日も撮影してきた。この投稿には、2019年秋に撮影した写真と、去年の写真と、今年の写真を載せております。

こうやって載せると、自然破壊だ、とか景観破壊だ、という感想を持つと思う。そしてそれは正しいのだけど、個人的にはやむを得ないのかな、とも思っている。
平らな土地というのは、特に伊那谷では貴重だ。農業でも、工業でも、大抵の産業はこの平らな場所で営むことが効率的である。だから、その時の主力産業が平らな土地を使ってきた。下市田河原には水田が立地している。水田は言うまでもなく食料生産の要で、日本を支える産業だ。今でもそうだ。だからこの土地が水田だった。もちろん水が豊富に得られるとか他の事情もあると思う。
父に話を聞くと、この場所は色々な先人達が苦労して開拓してきた場所であるという事が分かる。必ず宗兵衛堤防の話が出てくるし、その後の大水害昭和36年の三六災害の話、その後の災害復興・区画整備の話が出てくる。みんなでひたすら石拾いした話とか、出てくる。日本にはまだほとんどなかった大型の輸入のトラクターを借りてきて整備したとか、コンバインを試してみたとか。苦労してだんだんときちんと育つ水田地帯を作り、機械化する共同作業場(今のライスセンター)を作り、育ててきた場所だ。ただ、時代は変わ(ってしま)った。一番分かりやすい所では、農業の効率化だ。機械化が進んで、1人の農業者が生産できる農地が広くなった。
その結果、食料は他の物価に対して価格上昇が抑えられ、みんなが豊に暮らせるようになったのだけれど、これ、逆に言うと、農地の面積に対して、そこで商売をして収入を得られる人の数が減ったということになる。土地の面積あたりで、職を得られる人が減った、つまり、ドライに言うならば、土地の利用効率が悪いということだ。そうなるならば、多くのが職を得ることができる産業にこの伊那谷で貴重な平らな場所を明け渡すのも、仕方が無いのかなと思う。父に色々と話を聞くと、我が家も昔からずーっと市田柿と稲作をやってきたのかと思いがちだが、実は波瀾万丈で時代時代に応じて色々な事をやってきたことが分かる。ならば、これもその流れの一つなのではないか。最初に工業団地化の説明会があった時、地権者の先輩達が変えないで欲しいというのではなくて、未来の見通しについての質問(企業立地の見通しや、他地域に対する比較優位性など)をしていたのが印象に残っている。ただ、自分の本能が、変化を嫌う。ならば、記録をして、思い留めておこうと思って、こうやって写真をとっていると言う話である。
この場所は、現在、新たに域外の自動車関係のプレス部品などを手がける会社さん( 三共鋼業株式会社 のしなの高森工場 )が立地し、そして現在は、リニア中央新幹線のガイドウェイ(浮上式リニアにおける、「鉄道レール」に相当する部品)を製造するための工場の建設が行われている。リニア中央新幹線の開通前には、さらにリニアの工場はなくなり、さらに色々な産業が立地する場所になるはず。一般の製造業はじめ産業も、ロボットやらDXやら色々言われ、超効率化が行われるようになっている。だからこれらも土地利用効率(土地辺りで働ける人の人数)は下がっているけれど、今まであまり地方に立地しにくかった、労働集約型ではない産業(専門性の高い人が働ける場所)も期待できる(というか、出来なきゃまずい)とも思ったりするけど、そこら辺はもうちょっと別に考えようと思う。自分が何をするかも含めて。父や祖父やご先祖様、地域の人たちが苦労して開拓してきた場所が、新たな産業の主役になって、今までと同じく地域を支える場所になればいいなと思いながら、今後も記録していこうと思う。

情報提供:松島英洋さん

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