これからが大事だよね~町長選は両候補が一旦は思いを遂げられたわけだけど

壬生町長3期目スタート


後援会が署名を集めて立候補をお願い
1月18日に投開票が行われた高森町長選挙は、3期目にして初めて選挙を経験した壬生さんが3,898票を獲得して当選を果たしました。ご本人的には8年前から「やっても2期まで」という考えがあったようですし、ご家庭の事情もあって、今回は本当に立候補するつもりがなかったそうです。でも、壬生町長を熱烈に支持する人達が署名まで集めて壬生さんに3期目の立候補を懇願、ご家族にもお願いして立候補することが決まりました。
署名まで集めて立候補をお願いした後援会の意気込みは凄かったですよ。目標は”当選”ではなく”圧勝”で、町内隅々まで組織を張り巡らして盤石の体制を作っていました。

選挙にしたい!木下剛さんが名乗り
2期8年の壬生町政が本当に町民の信任を得ているのか疑問を持っていた木下さんは、次の4年間をモヤモヤしながら過ごすより、自分自身の被選挙権を発動して壬生町政の真価を問うことを選びました。
行政に携わった経験も知名度もない自分でも、町民に意思表示の機会を提供することはできるかもしれないという一心での立候補、これ、誰にでもできることではありません。

選挙対策本部も対照的
壬生さんの後援会は早い段階で各地区に支部長を配し、女性部、青年部、壮年部と強固な組織づくりをしていました。3期目は立候補しないと明言していた壬生さんを署名まで集めて担いだ人達の責任感と、壬生さんの行政能力に絶大な信頼を置く人達の期待感が大きな駆動力になっていたと思います。一方、12月後半に立候補を決めた木下さんは後援会組織を持っていません。「高森町まちづくりを語る会」で知り合った人たちを中心に急ピッチでマニフェストをまとめる作業を行いました。組織というより、賛同する人達が個人的に手伝うという形で活動を続けていた木下陣営は、選挙終盤になって支援者が急増していく手ごたえを感じていました。

木下さん「現町政は民主主義的じゃない」
木下さんは、これまでも町政に関心がなかったわけじゃありませんが、町長選に立候補するほどの問題意識を持つようになったのはほたるパークのサッカー場建設がきっかけだったそうです。その後も湯が洞御大の館の改修事業や、福祉センター建替事業など、大型案件が実施されていく様子を見て「高森町が本当に町民の望む方向に進んでいるのか、町長や役場の都合を優先しているだけじゃないか」と感じたそうです。選挙期間を通して木下さんが発していたメッセージは「誰一人取り残さない町づくりを目指し、町民の声が行政に反映されないと感じている町民がいれば、その人達が意思表示できる機会を作りたい」ということでした。

壬生さん「選挙の争点がわからない」
壬生町長は、2期8年を通して、町を元気にするために積極的に事業を展開し、起業を支援し、とりわけ人材育成に注力してきました。結果は徐々に形となって見えてきていると言います。壬生さんのマニフェストは町政のあらゆるジャンルを網羅していて、過去8年間の実績との矛盾もなく、さすがといった内容です。立会演説会では、回った全ての箇所で、地区ごとに特化した内容を具体的な言葉で話していました。本当に町の隅々まで把握しているという印象でしたね。そして、地区のみなさんの声を聴いて町づくりに反映させていくという言葉を繰り返していたのも印象的でした。そんな壬生さんは、木下さんが問題視しているサッカー場は何度も説明会を開いたし、湯が洞は町民が参加する検討委員会から始めて意見交換会も開いている。「知らなかった」とか「町民置き去り」と言われても、何を言われているのか理解が難しいと困惑した様子でした。

投票率はギリ過半数超えた感じ
20年前の町長選は投票率が72%、今回が56%。かろうじて半分を超えてますけど、関心低いんですね。
投票日の18日に、近所の30代男性に投票に行ったか尋ねると、行かないし誰が立候補しているかも知らないという答えでした。また別の30代の男性は、選挙って現職が強いから壬生さんが当選するんじゃないですかと答えつつ、自身は投票には行かないと言っていました。どちらの方も、今以上のことを町政に望まないし、特に不満もないということだったので、投票率が低いのは壬生町長8年間の町政運営に対する満足度が高かったことの側面なのかもしれないと感じました。
一方で50代以上では、自身は壬生町長に投票するけど反対票はかなりの数になると思うよという感想や、木下さんのことは何も知らないが壬生さん以外の人に投票したいという声もありました。壬生さん、仕事がデキるのは分かるけど、なんかねぇ・・・とか、壬生町長の行政手腕や実績は認めているんだけど、なんか素直に支持する気持ちになれないという感想が意外に多くて驚きました。
木下さんについては、どこの誰だかまったく知らないけど、今だにサッカー場のこと言ってるのは共産党の人か、共産党の人に応援してもらってる人だろうっておっしゃる方が多かったです。

それは言っちゃいけないと思うよ
木下さんには大きな葛藤がありました。壬生町政への反対意思を示せる選択肢となりたいから立候補したけど、正直勝算はない。勝算はないけど町民の意思を数字で可視化したい。
この姿勢を賞賛する声は多く、壬生さんを支持する人の中からも「勇気がすごい」「選挙にしてくれてありがたい」という声はよく聞きました。反対に「当選する気がないなら出るな。選挙にいくら税金が使われると思うんだ。」という声もちらほら。
でもさぁ、選挙は本来あるべき事業なんだし、今まで20年間も選挙の費用使わずに来てるんだから、たまに選挙やったくらいで「税金の無駄遣い」は言わんくていいですよ。って私は感じました。それよりせっかく税金かけて選挙やったのに投票に行かなかった約半数の町民の方がね、せっかくの機会を無駄にしたって気がしますよ。

壬生さん(3,898) vs (1,875)木下さん
投票結果は壬生さん3,898票、木下さん1,875票で壬生さんが当選となりましたが、この得票数がまた味わいがあります。壬生さんの強さを表す言葉としては「ダブルスコアで圧勝」ですが、え、3人に1人、約30%の町民は木下さんに投票したの?直前で立候補を決めたほぼ無名の新人が、2期8年で町を元気にした壬生さんと、案外勝負になっちゃってない?っていう見方もあります。
選挙への準備期間、後援会組織の規模、過去の実績、現職の強さ、全て壬生さんが圧倒しているのに、ざっくり言って2対1?
とは言え、じゃ町民全体が2対1かっていうと、そう単純でもないと思えて。どちらかというと壬生さんを支持する人の中には「自分が投票行かなくても壬生さんで決まりでしょ」って人が多そうだったこと。一方で木下さんを支持する人達は「自分が投票しなきゃ」って実際に投票した割合が多いんじゃないかとか。

両候補とも最低限の目的は達成できたっぽい
壬生さんはダブルスコアの大差で当選を果たし、町民の信任を経て、改めて高森町を「町民起点で共に創る元気な町」にするためのポジションに就くことができました。
木下さんは町民の3人に1人が壬生さんの町政に問題意識をもっているということを数字で示すことができました。
両候補とも、町長選に立候補した最低限の目的は果たされたように見えます。

でも大事なのはここから
これから壬生町長は、木下さんが「町民の声を反映されない手順で進められている」と訴え続けた湯が洞御大の館改修工事、福祉センター建替え工事、MIZBEステーション建設を進めていかなくてはなりません。何度意見を募集しても、何度説明会を開いても「聞いてない」「知らなかった」と言われて、ごく一部の人が言ってるだけだろうと思っていたら町民の3人に1人は木下さんと同じ意見を持っている可能性が選挙で判明して、とは言えその倍、3人に2人は壬生さんの手法を肯定しているし。多数派の声に乗っかって今までの方針を貫くのか、何か変化を取り入れるのか、どうするんでしょうね~。
木下さんは今から4年間をモヤモヤして過ごしたくないと立候補し、町民の3人に1人から賛同を得られたものの、壬生さんは一貫して「争点がわからない」という姿勢なので、せっかく壬生さんに対する反対票を可視化できたのに、このままではますますモヤモヤした4年間を過ごすことになりそうです。1,875票を無視するのかー!って。これからもなにがしかの形で町政に声をあげ続けないと、せっかくの選挙結果がもったいない気もします。

壬生町長の功績は大きい
私の感覚では、なり手がいない町長という大役を8年にわたって引き受けてくれたのが壬生さんという印象です。周辺町村に比べて元気がないと言われていた高森町を元気にするんだという決意で町長を2期8年続けてこられ、今の高森町が様々な事業を連発し、起業家も増えて元気な印象の町になったのは壬生町長の功績だと思います。個人的にはこれまでも、これからも壬生さんが高森町長で良かったって思います。それに、最初から2期8年までだとおっしゃってましたが、これだけ事業を展開してきたのだから3期12年くらいがちょうどいいと思います。
マニフェスト評価会まで開いて、有言実行でやってきた壬生町長は、8年前から4年後まで、この高森町を元気な町にするために不可欠な町長だと思います。

木下さんの行動は尊い
壬生町長は、どんな場面でも言葉に詰まるところを見たことがありません。町政についてどんな質問をされても朗々と返答するデキる町長。周辺町村からも一目置かれる行政手腕で町を牽引します。
そんな壬生町長への反対とも解釈できる票が町民3人に1人の割合だったことは驚きました。この結果を見える化した木下さんの立候補は、自己犠牲を伴う、勇気ある尊い行動だったと思います。少なくとも1,875人の賛同を得たのは動かない事実ですからね。

選挙を通して感じたこと


相手を言葉だけで理解しようとすると
実在しない対立があるように見える

”聞く”と”聴く”
壬生さんは「町民の声を聞いている」といい、木下さんは「壬生さんは町民の声を聞いていない」という平行線。”聞く”という言葉の定義が両者で違ってるように聞こえました。木下さんは壬生さんに”傾聴”という姿勢を期待し、壬生さんは”聞く機会を作った”という手順の話をしているように感じました。お互い、自分のポジションから出ずに話をしていて、それは選挙では当然のことかも知れないけど、自分の言葉を通そうとするとに終始して、相手の言葉を理解しようとする姿勢は見られなかったように感じました。
情報の取捨選択
役場職員の労働環境の話、壬生さんは「高森町役場は明るく働きやすい」、木下さんは「高森町役場は暗く、職場環境が好ましくない」という主張でした。これは、誰の意見を拾うかで事実が複数存在してしまう、ある程度の規模の組織ならどこでも起きる現象です。両候補が、自身の主張する物語に沿った情報を選択的に拾って主張し、相手が主張する情報は無視するか、誤情報と決めつけてしまっているように見えました。
私が何人かの職員の方に話を聞いてみたところ、両候補が言っていることはどちらも確かに役場内の様子を部分的に言い表していました。
自分の主張にそぐわない情報を無視していては、問題解決の方法をいくら考えても片手落ちな間違った方法しか考えつかないと思うんですよね。
理解しない努力
壬生さんの「町民起点の町づくり」は、木下さん側から「起点になれる力のある町民だけと町づくり」に聞こえて、木下さんの「町民と共にあゆむ町づくり」は壬生さん側から「町民全員の理想を同時に叶える町づくり」に聞こえているようでした。
選挙という仕組みの上では当然のことかもしれないけど、自分と相手の違うところを探し出して否定するというのは、相手の言葉にできるだけ賛同しないように努めているようにも見えて、町民のための町づくりを目指している行動とは別だなと感じました。木下さんにこの傾向が強いように感じたのは、現職の対立候補としての立場からやむを得ないことだったと思います。壬生さんは現職ということもあって、対立候補の主張には触れずに町の未来を語ることに徹していましたが、それでも後半は少し感情的になって木下さんの主張に反論していましたね。
高森町を大切に思う気持ちは共通のはず
両候補は本当に町づくりのことを大切に思っているので、このお二人が、互いに共通する思いや考えを確かめあって、共通点を中心に議論を進めていければ、どこまで行っても平行線ていう切ないやりとりにはならないと思いました。選挙期間はしょうがないですけど、選挙が終わった今、壬生さんと木下さんが対話を続けて、高森町のより良い未来について思索を深められれば、良い町づくりに関するヒントが得られそうな気がします。
現職の苦労と対立候補の自由さ
国や県のもとで町民の生活を守る最前線、あらゆる困難をリアルタイムで解決していかなければならない現職町長の苦悩の深さは私には計り知れません。100点満点の絶対的な正解が絶対に存在しない人間社会で、減点法で評価されるんです。「それが出来れば理想だけど、現実的にはこうせざるを得ないんだ」って行政判断の場面が山ほどあると思います。それを日々体感している現職町長だからこそ、語る言葉には厳しさや冷たさみたいなものがちょ~っとだけ感じることがあっても、そりゃしょうがないですよ。
一方、行政体験のない新人候補者の発想は自由です。今回、木下さんは「壬生さんができていないことを全部やってやるんだ!」って勢いでマニフェストを構成していましたが、半分以上の項目で、それらを実現するための具体的な方法は示されませんでした。出来るか出来ないかは別のこととしてお題目だけ掲げられるのが新人候補なんですよね。どのお題が現実的で、どれが非現実的なのか見えていないのですが、当選しない可能性が高いから、これらのお題に責任を持たなくていいんだっていう空気をちょっと感じました。ちょっとですよ。
敵認定すると解像度が下がる
壬生陣営は「木下さんは共産党」、木下陣営は「壬生さんは独裁」って言いがちでした。どちらの陣営にも言えることですが、相手に対する認知が粗すぎて残念でした。相手を人として認めて、人となりや背景を知ろうとする姿勢が無いように見えました。木下さんは共産党員じゃないし、壬生さんも独裁者ではないですよ。もちろん、そう感じてしまいがちな原因があるにはあります。でも、相手に対する認知を誤り過ぎると、相手の言動に対する理解が深まりません。
”右”と”左”みたいな構造に当てはめたくなりがちですが、その構造で考えてしまうからこそ見えなくなってしまう部分もあるし、対立なく解決できるかもしれない問題を解決困難なものに見せてしまっている部分もあると思います。

え~っと
思ったより長くなってしまったので、選挙の感想は一旦ここでおわりにします。壬生さん、木下さん、生意気言ってごめんなさい。

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